針仕事

2015.03.06 Friday

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     カミさんは針仕事が好きである。
    暇さえあれば何かを縫って作っている。
    趣味と実用を兼ねているらしいので、
    およそ飽きることなく、ムチューで作っている。
    たまには己のために作ってもくれるのだが、
    ほとんどは自分が身に着ける服やら手提袋やら、
    小物の類で、次から次に「新しいもの」を作っている。
     カミさんのそんな姿に、
    夜更け、よく針仕事をしていた亡き母の姿が重なる。
    しかしカミさんと母の針仕事には大きな違いがある。
    母は「新しいもの」を、まず作ってはいなかった。
    子供たちの、破けたり、綻びたズボンや下着、
    穴のあいた靴下なんぞを繕ってばかりいたと思う。
    戦後の貧しい暮らしの中で、新しい衣類はなかなか買えず、
    数少なかった古い衣類を、
    とことんボロになるまで使い切ろうとしたあの時代。
    小さな体をまるめ、
    目をショボショボさせながら繕いものをしていた母の姿・・・。

    思い出せば、チトこの胸が熱くなる。
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